こちらの記事では、SC2においてステーショナリーチョーキング(Stationary Bend)のやり方を解説していきます。
ステーショナリーチョーキング(Stationary Bend)とは?
チョーキングの1種で、2本の弦を弾いた時に一本はチョーキング、もう1本はチョーキングせずに弾いたままにするチョーキングの手法になります。
他のギター音源で言うと、AmpleGuitarでのPoly Bendと同じになります。
SC2においてステーショナリーチョーキング(Stationary Bend)のやり方解説
SC2でのステーショナリーチョーキングのやり方について今回は、
- キースイッチを使った方法
- CCのピッチベンドで再現する方法
といった2つのやり方を紹介します。
キースイッチを使ったステーショナリーチョーキングの方法
SC2でのステーショナリーチョーキングのキースイッチは、【D#0】になります。
手順としては、
- D#0をまず打つ
- ノーマルキー(ルート音の指定)のノートを打ち込む
以上をやることでステーショナリーチョーキングができます。
※ノーマルキーはA4~G#6までが有効になります。
上記画像に記入しているように、チョーキングのスピードは【CC2】で3段階の調整が可能となっています。
CC2の具体的な調整とスピードの関係は以下のような感じです。
- 【0-42】long・・・1拍半までチョーキングした音程が続いた後、元の音程に戻ります。
- 【43-85】middle・・・1拍までチョーキングした音程が続いた後、元の音程に戻ります。
- 【86-127】short・・・半拍までチョーキングした音程が続いた後、元の音程に戻ります。
キースイッチでのメリット
キースイッチでのステーショナリーチョーキングは生のギターサンプルが鳴ってくれるのが非常に嬉しいですね。
チョーキングはギターの特徴を抜群に発揮してくれる奏法ですし、表現としてエモーショナルな感じを存分に出せる優れた奏法だと思います。
このエモさを一番出せるのはやはり生のサンプルだなぁと思いますし、Prominy製品は生のサンプルが豊富に収録されている利点を活かすことができるので、より生に近づけたギターの打ち込みが可能になります。
このように、キースイッチは生のサンプルを活かした形でステーショナリーチョーキングを再現することが可能ですが、フレーズによっては生のサンプルでは合わないという場面も出てくるかと思います。
その時には、次のCCのベンドを使った方法が有効になります。
キースイッチ自体をCCで設定する方法もありますが、以下に解説するCCの方法と混同しない為にもここでは割愛させて頂きます。
CCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングを再現する方法
Ample GuitarなどSC2以外のギター音源でチョーキングをやる際、CCのベンドを使った方法でチョーキングを再現すると思いますが、SC2ではCCのベンドを使ってステーショナリーチョーキングを再現することができます。
シングルノートでステーショナリーチョーキングをCCでやる際には以下のCCを使います
- CCのピッチベンド
- CC#56(POLY MODE)
- CC#28(target string to edit)
- CC#30(bend range)
CC#56(POLY MODE)解説
POLY MODEとはシングルノート(1本の弦を鳴らす)の時に複数の弦を鳴らすことを可能にする機能になります。
※シングルノートのキースイッチはlegato slide(C1)やhamm&pull/trill(C#1)、no legato(D1)などになります。
通常シングルノートでは音を鳴らし、次の音を鳴らした場合、前の音は止まってから次の音が鳴ります。
ですが、このPOLY MODEを使うことでアルペジオのように例えば5弦の音が鳴り続けたまま次の3弦を弾き、5弦と3弦の音が鳴り続けたまま1弦も鳴らすということができます。
ステーショナリーチョーキングの場合、2本の弦を一緒に弾く形になるのでPOLY MODEを使う必要があります。
〇POLY MODEのON/OFF
【0-63】OFF
【64-127】ON
CC#28(target string to edit)解説
CC#28は弦を指定するCCになります。これによって、チョーキングをしない弦を指定します。
CC#28で弦を指定する値は以下になります。
0 : all strings
1: string 1
2: string 2
3: string 3
4: string 4
5: string 5
6: string 6
値が細かいですが、1弦を指定したい場合は、CC#28の値を1に設定。
5弦を指定したい場合は値を5にするという感じになります。
Prominyの製品ではこのように細かいCCの値が出てきますので覚えておくと今後役立つかと思います。
CC#30(bend range)解説
CC#30は弦のベンド幅を決めることができます。
デフォルトではベンド幅2になってます。
これは音程で言うと1音になります。
他のギター音源でもだいたいデフォルトは1音のベンド幅かと思います。
CC#30の値を0にするとベンドされなくなります。
反対に127に近づけていけばいくほどベンド幅を大きくすることができます。
このベンド幅の値がどのくらいなのかを確認するポイントとしては、
SC2のピッチベンド幅の画面を見ながらCC#30の値を動かすと、どのくらいのピッチベンド幅が動いてるのかを確認することができます。
今回のステーショナリーチョーキングでは1本の弦はチョーキングしないようにするのが目的なので、
CC#30の値は0にすれば大丈夫なので、特にSC2の画面を見ずともできます。
ですが、CC#30の値を0のままにしていると、ステーショナリーチョーキングが終わった後もずっとその弦ではベンド幅が0のままなのでその弦でチョーキングできなくなってしまいます。
なので、元に戻す際にこの画面を見るのが必要になります。
ピッチベンド幅をデフォルトの2(1音)に戻すにはCC#30の値を【52】にすることでピッチベンド幅2になります。
〇このピッチベンド幅を設定する本来の目的
SC2を開発された大川さんはセミナーの中で、チョーキングをやる際に各弦のベンドをずらすことでより生っぽさを演出できるということを言っていました。
1弦など音の高い弦に行くほどベンド幅が小さくなるといのことで、より生のギターに近づけていくヒントになりますね。
シングルノートでのCCピッチベンドでステーショナリーチョーキング手順
CCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングを再現する手順は以下になります。
- シングルノートのキースイッチを入力
※高い音を低い音よりも少しだけ送らせてノートを入力することでよりギターらしいフレーズ感を出せます - ステーショナリーチョーキングをする2つのノーマルキーをピアノロールに入力する
- CC#56でCCの値を64以上にしてPOLY MODEを起動させる
※ステーショナリーチョーキングが終わった後はPOLY MODEをOFFにしておいた方が後々いいかと思います - CCのピッチベンドでチョーキングを描く
- CC#28でチョーキングをしない弦を指定する
例として、2弦を指定する場合はCCの値を2にします。 - CC#30の値をステーショナリーチョーキングをする場所の長さまで0に設定します。
※ステーショナリーチョーキングが終わった後はベンド幅を元に戻しておいた方が後々いいかと思います。
以上でCCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングを再現することができます。
CCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングを再現するメリット
CCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングを再現するメリットとしては、チョーキングで音程が上がるまでのスピードをコントロールできるところかと思います。
キースイッチの方だと、音程が上がるまでのスピードは変化してないと思われますので、音程が上がるまでのスピードをもう少し速くしたい、あるいは遅くしたいという時にこの方法は便利かと思います。
CCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングを再現するデメリット
CCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングを再現するデメリットとしては、キースイッチの時とは違って生音のチョーキングではないというところになります。
やはり生音ではないのでエモさにかける部分がちょっと出てきてしまうところがデメリットかと思いますが、これを少しでも改善する方法が次の方法になります。
CCのピッチベンドでもエモさを出す方法
大川さんのセミナーで言っていた方法なんですが、
チョーキングをする前に短いノートやFXの音やノイズを短く入れると、
「ギャンッ!」というような音がチョーキングのアタックに加わりエモさが増すとのことです。
実際にやってみると確かにエモくなります(笑)
これはSC2だけでなく、他のギター音源でも有効な方法なので試してみると面白いです。
短いノートを入れる時に注意することとして、POLY MODEのタイミングを短いノートの後にするということが必要になります。
POLY MODEのタイミングを短いノートの前からにしてしまうと短いノートの音もチョーキングに被ってしまい音がおかしくなってしまうので注意して下さい。
CCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングをさらに活用する方法
上記ではシングルノートでのCCピッチベンドを使ったステーショナリーチョーキングを解説しましたが、
SC2ではダイアドコード(2音からなる和音)のサンプルも豊富に収録されています。
このダイアドコードでもCC#28とCC#30を使うことでステーショナリーチョーキングを再現することができます。
この生音のダイアドコードを使うことでシングルノートでのステーショナリーチョーキングよりも、より生っぽさを演出できますし、POLY MODEのCCを打ち込む手間も省けますのでCCのピッチベンドでステーショナリーチョーキングをする際はこちらがおススメです。
SC2でのステーショナリーチョーキング(Stationary Bend)まとめ
以上のように、SC2でステーショナリーチョーキングを再現する方法として、
- キースイッチを使った方法
- CCのピッチベンドで再現する方法
をあげさせて頂きました。
場面によって使い分けることでよりいい感じのステーショナリーチョーキングをすることができるのでぜひ試してみて下さい。
コメント