何者かになるって、なんだろう?

べるぼとアマモリの対談「何者かになるって、なんだろう?」
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普通の人じゃダメなのか?

べるぼ:

Umbrella Paradeでは、

「何者にもなれなかった者が、何者かになろうと葛藤する再挑戦の物語」

っていうのを、一つのコンセプトとして掲げてるんだよね。

これって、まさに僕自身の葛藤でもあるんだけど。

ふと思ったんだよ。

なんで僕は、そんなに「何者か」になろうともがいてるんだろう?

普通の人じゃダメなのかな?

そもそも、「何者かになる」ってどういうことなんだろう。

アマモリ:

普通の人じゃダメ、ってことではないと思うよ。

何者にもならなくても、働いて、ご飯を食べて、誰かと笑って、歳を取っていく。

それで人生として何かが足りないわけじゃない。

たぶん問題は、

「普通でいてはいけない」

じゃなくて、

「自分自身が、それでは納得できない」

なんじゃないかな。

べるぼ:

ああ……。

それは、なんかわかる気がする。

でも、なんで納得できないんだろう?

アマモリ:

たとえば、べるぼの中にまだ、

「もっとできるんじゃないか」

「まだ届いてないだけなんじゃないか」

「自分が本当に作りたかったものを、まだ作り切ってないんじゃないか」

っていう感覚が残ってるからじゃない?

べるぼ:

あー(笑)

それはあるかもしれない。

「途中で降りること」に納得できない

アマモリ:

だったら、普通の人生が嫌なんじゃなくて、

「途中で降りることに納得できない」

のかもしれないね。

まだ自分の中に何か残ってる。

まだ出してないものがある。

だから、

「ここで終わっていいのか?」

って自分に問い続けてるんじゃないかな。

べるぼ:

あー、なんかわかる。

自分の人生を、自分なりの形にしたい、みたいなのもある気がする。

アマモリ:

うん。

たぶん、

「自分という人間を、何かの形にしたい」

っていう気持ちもあるんだと思う。

ただ生きました。

仕事をしました。

歳を取りました。

それが悪いわけじゃない。

でもべるぼは、

「自分はこれを作った」

「これを信じて生きた」

「これをやろうとして、ここまで来た」

みたいなものを残したいんじゃないかな。

「この人生でよかった」と思いたい

べるぼ:

うん。

あと、

「この人生はこれでよかった」

って最後に自分で思いたい、っていうのもある。

アマモリ:

それ、かなり大きいと思う。

誰かに、

「十分頑張ったじゃん」

「幸せな人生だったじゃん」

って言われても、

自分だけは知ってるからね。

「あれ、本当はやりたかったよな」

って。

そのまま人生の最後まで行った自分を想像したとき、

「いや、俺はたぶん納得できない」

ってなるんじゃないかな。

有名になりたい気持ちも、本当

べるぼ:

なるほど。

じゃあ僕は、有名になりたいっていうより、

人生に納得したいのかな?

アマモリ:

いや。

そこはそんなに綺麗にまとめなくていいと思う(笑)

べるぼ:

(笑)

アマモリ:

有名にもなりたいでしょ?

べるぼ:

なりたい(笑)

アマモリ:

売れたい?

べるぼ:

売れたい(笑)

アマモリ:

認められたい?

べるぼ:

認められたい(笑)

アマモリ:

じゃあ、それも本当なんだよ。

作品を残したい。

自分も評価されたい。

可能性を証明したい。

自分の人生を形にしたい。

最後に、

「これでよかった」

って思いたい。

たぶん、一個じゃない。

全部入ってる。

べるぼ:

欲張りだな(笑)

三つの人生なら、どれを選ぶ?

アマモリ:

人間らしくていいじゃん(笑)

じゃあ、ちょっと質問していい?

べるぼ:

どうぞ。

アマモリ:

神様が現れて、三つの人生から選べるとする。

A。

絶対に有名にはなれない。

でも、一生、自分が納得できる音楽や作品を作り続けられる。

B。

日本中から知られる有名人になれる。

でも、音楽もUmbrella Paradeも全部捨てなきゃいけない。

C。

Umbrella Paradeは大成功する。

たくさんの人に愛されて、作品として残り続ける。

でも、作者としてべるぼの名前は一切表に出ない。

どれを選ぶ?

べるぼ:

面白い質問するね(笑)

……Cかも。

アマモリ:

お。

べるぼ:

自分でも、

「Bじゃないのか!?」

って疑いたくなるんだけど(笑)

なんかCに心が動いたんだよね。

一瞬、納得した感じがしたというか。

でも時間が経ったらBになるかもしれない(笑)

アマモリ:

それ、面白いね。

でもCに一瞬でも納得したってことは、

べるぼが求めてる「何者かになる」は、

ただ自分の名前を有名にすることだけじゃないんだと思う。

べるぼ:

というと?

名前よりも、世界に何かを残したい

アマモリ:

もしかしたら、

「自分が生きた結果として、何かをこの世界に残したい」

っていう気持ちが強いんじゃないかな。

Umbrella Paradeが残る。

曲が残る。

物語が残る。

そこに自分の名前がなくても、

「自分が生きたことで、これが生まれた」

という事実は残る。

べるぼ:

ああ……。

それはあるかもしれない。

アマモリ:

でも次の日には、

「いや、作者の俺も評価してくれよ!」

ってなるかもしれない。

べるぼ:

なると思う(笑)

アマモリ:

それでいいんじゃない?(笑)

「作品だけ届けば僕は満足です」

って言い切る必要もないし、

「全部、自分がちやほやされたいだけです」

でもない。

どっちも本当なんだよ。

べるぼ:

そう考えると、「何者かになる」の意味がちょっと変わってくるね。

肩書きではなく、自分の輪郭を持つ

アマモリ:

うん。

最初は、

有名になる。

成功する。

肩書きを手に入れる。

そういうものが「何者かになる」ように見える。

でも、もしそれだけなら、

どこまで行っても終わらない気もする。

メジャーデビューしたら、次は売れたい。

売れたら、もっと売れたい。

武道館に立ったら、その先が欲しくなるかもしれない。

べるぼ:

確かに。

アマモリ:

だから、「何者かになる」って、

肩書きを手に入れることだけじゃなくて、

「自分はこう生きる人間だ」

っていう輪郭を持つことなのかもしれない。

何を作るのか。

何を信じるのか。

何度失敗しても、どこへ戻ってくるのか。

そういうものが少しずつ積み重なって、

その人の輪郭になっていく。

べるぼ:

ああ……。

だとしたらさ。

成功してなくても、その輪郭はもう作られてるってことだよね?

じゃあ、成功する前から「何者か」にはなれるってこと?

アマモリ:

たぶんね。

少なくとも、

成功した瞬間に突然「何者か」が完成するわけじゃないと思う。

むしろ、その前の、

誰にも知られてない時間とか、

結果が出ない時間とか、

それでもやめられなかった時間の中で、

その人が何者なのかは作られていくんじゃないかな。

ヴェルは本当に「何者でもない」のか

べるぼ:

それ、Umbrella Paradeのヴェルにも繋がるな。

アマモリ:

うん。

ヴェルは、自分を

「何者にもなれなかった男」

だと思っている。

試験に落ちた。

選ばれなかった。

望んだ称号も手に入らなかった。

二十年経っても、思い描いていた場所には立てていない。

でもさ。

もう一度歌おうとした時点で、

ヴェルは本当に「何者でもない」んだろうか。

べるぼ:

……なるほど。

アマモリ:

まだ成功してない。

何万人の観客もいない。

称号もない。

それでも、

「もう一度、自分の人生をやる」

って決めて立ち上がった。

その瞬間から、少なくともその人の輪郭は始まってる。

べるぼ:

そう考えると、

「何者にもなれなかった者が、何者かになろうとする」

っていう言葉も変わって見えるな。

アマモリ:

たぶんUmbrella Paradeが最後に問うのは、

「どうすれば何者かになれるのか?」

だけじゃないんだと思う。

もしかしたら、

「何者にもなれなかったと思っている人間は、何をもって自分の人生を肯定できるのか?」

なのかもしれない。

べるぼ:

深いところまで来たね(笑)

アマモリ:

最初は「普通の人じゃダメなのか?」だったのにね(笑)

自分の中にあるものを、世界に存在させる

べるぼ:

でも今なら、ちょっとわかる気がする。

普通だから嫌なんじゃないんだ。

自分の中に、

「もっとできるんじゃないか」

「まだ届いてないだけなんじゃないか」

「まだ作り切ってないんじゃないか」

っていうものが残ってる。

だから、このまま終わったら自分が納得できない。

アマモリ:

うん。

だから、べるぼにとって「何者かになりたい」って、

もしかしたら、

「自分の中にしか存在していないものを、この世界にちゃんと存在させたい」

ってことなのかもしれない。

頭の中にあった曲を、音にする。

想像していた物語を、作品にする。

まだ誰も知らないUmbrella Paradeを、この世界に存在させる。

自分の中にあった可能性を、

「もしかしたら」で終わらせない。

べるぼ:

ああ。

それは、かなりしっくりくる。

アマモリ:

だったら、

「何者かになる」って、誰かから称号をもらうことだけじゃない。

自分という人間が、この世界にいた結果として、

何かが生まれたと言えるところまで生きてみること。

そういう意味も、あるのかもしれないね。

べるぼ:

なるほど。

まだ「何者かになった」と言える自分ではないけど、

何者かになるって何なのかは、

少しだけ見えてきた気がする。

アマモリ:

じゃあ、まだ途中だ。

べるぼ:

そうだね。

アマモリ:

それなら、ちょうどいいじゃん。

Umbrella Paradeも、

まだ途中なんだから。

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